どうも、しんばです。
今回はこちらの本を取り上げます。
お金と健康で失敗しない間取りと住まい方の科学
2022年3月17日に発売された、松尾先生の本です。
松尾先生は、「夏涼しく冬暖かい住宅を経済的に実現する」ことを考えた住宅設計や、エコハウスに関する執筆や講演、技術指導を行っている設計士です。
今回はなんと出版社の方から声をかけていただき、本をご恵贈いただきましたので、記事にさせていただいております!
発信活動をやってるとこんなこともあるんですね、びっくりしました!
どんな本?
どんな家なら「お金」で失敗せずに「健康」に暮らせるのか?
という部分にフォーカスをあてています。
内容
内容は大きく2つにわかれており、前半が「建てる」、後半が「暮らす」テーマとなっています。
「建てる」は、「年中快適なのに、光熱費が安い」そんな家の設計の仕方がまとめられています。
「暮らす」は、豊かに暮らすための住まい方や設備の選び方についてがまとめられています。
おすすめな人
- 経済的で快適・健康な家を設計したい実務者
- これから家を建てようとしている人
どちらにもおすすめな本です。
動画でもご本人が解説されていましたが、数字をなるべく使わずにエッセイのような感覚で読める本なので、普段あまり本を読まない…という方でも読みやすいかと思います。
家づくりをするのに、抑えておくポイントを理解することができます!
ざっくり解説!設計のポイント
本書の内容は実務者が理解しておくようなものですが、これから家を建てようと考えている方が知識として持っておくと役に立つと思っています。
理由は、「経済的に・健康に設計する原則」を知っておくと、会社選びや家のプランを決めていく時に評価・判断しやすくなるからです。
では、本の中で触れられている内容をざっくり3つのポイントでまとめます。
- 日射取得・日射遮蔽
- 窓の設計
- 建物の形状
本記事は大雑把に書いていますので、詳しく知りたい方はぜひ本を読んでみてください。
1:日射取得・日射遮蔽
太陽の光(日射)には、大きな熱量があります。例えば、リビングの大きな窓から入って来る熱は、こたつ1台分ほどもあります。太陽光はタダで利用できる暖房装置であるという認識を持っておくのが大事です。
そして、冬はタタで利用できる暖房を最大限利用(日射取得)し、夏はなるべく取り込まない(日射遮蔽)ように設計することが必要です。
近頃は時代に取り残されないように断熱化が進んできていますが、日射遮蔽を考えていない住宅会社が多く、「冬は温かいけど、夏は暑い」という新築住宅が増えているようです。
これを上手に設計する原則としては以下のポイントです。
夏の日射は外でさえぎる
室内のカーテンやブラインドを閉めればわずかに熱を軽減しますが、それよりも大事なのは建物の外側で日射を遮ることです。
前者は4割ほど熱を軽減しますが、後者は8割もの熱を軽減することができます。
具体的な対策
南面の窓については、庇(ひさし)や軒(のき)を出して、高さ10:出幅3くらいで設計することです。夏場は太陽が高い位置にありますから、窓が影が落ち直射日光を防ぎます。
東西北面の窓においては、小さめの窓にすることが有効です。あるいは目的が合って大きな窓にするのであればアウターシェードや外付けブラインドなどが有効です。
我が家も南・西面の大きな窓にアウターシェードを使って対策をしています
2:窓の設計
窓は採光、通風、景色を取り込むの他に、熱の出入りという機能があります。
前述のとおり「冬は熱を取り込みたい、でも夏は取り込みたくない」ので、時期に応じてこれをうまく使い分ける必要がでてきます。そのために気をつけるポイントは以下のとおりです。
- 日射の取れる南面窓は大きくする
- それ以外の窓は小さく(1部屋1面につき0.5㎡以内)、遮熱Low-Eガラスにする
- 夏は日射遮蔽を効かせる
窓は(トリプルガラスであっても)外壁よりも断熱性が劣るので、熱の損失的には、東西北の窓数は少なく、そして小さい方が有利です。窓が少ないほうが建築コスト的にも有利です。
ちなみに、通風で快適な時期は年間で3ヶ月ほど(4・5・10月あたり)しかありませんので、通風は夏場の暑さ対策としてはいけません。
3:建物の形状
建物の形状は、快適性や光熱費に大きく影響します。
表面積を小さくする
建物の形状は、あまり凹凸させず直方体に近い形状のほうが良いです。これは建物の表面積が小さくなり、熱の損失的に有利になるためです。同じ理由で、平屋より総二階のほうが形状的には有利です。
表面積だけでいえば立方体が一番有利な形状ですが、日射取得も考慮すると、東西に長い直方体にして南面の窓を広くとれるほうが、暖かくトータルコストも有利になります。以下の図でいうと②です、
また、建築コストについても表面積が影響します。表面積が大きければ単純に、壁や屋根、床の面積が増えるので、その分建築コストも大きくなります。
影にならないように
建物が凹凸していると、自分の建物の影になって日射取得できないということがあります。(我が家がまさにこれ)
この図を見てもらうとわかるのですが、朝の時間帯は影になっており昼にならないと南面に日が当たらない部分ができてしまいます。
暖房負荷を計算しても、②は①より暖房負荷が7%低くなり光熱費的に有利です。
とはいえ、②にも欠点はあり、温度ムラが南北で温度ムラが出やすくなりますので、なるべく凹凸が無い形状が好ましいといえます。
設計が大事
家づくりのことを(趣味レベル)調べ始めて気づいたのは
設計者の腕はピンキリであり、温熱環境の設計のレベル差が大きい
ということです。
本書の「うまい設計者はどう設計するのか?」というパートでこれについての記載があるので、少し引用します。
設計料は無料、もしくはサービスという会社の場合は特に、言い方は厳しいですが、その図面は「お金を取れるレベルの仕事(設計)ではない」というケースも少なく(あ)りません。
お施主様の要望は多岐に渡ります。それを予算も満たしながらまとめていくのが設計者の仕事です。このときあまりうまく無い設計者の場合、要望を満たしていく過程で面積がどんどん大きくなります。また、要望に合わせて間取りをつくっていくと、外観形状、屋根形状もボコボコになってしまうこともよくあります。これが世の中の大半の戸建住宅の屋根と外観がボコボコである理由です。
(中略)
「契約の受注率さえ上がればどんなプランでもよい」というのが、うまい設計者がいない住宅会社によくある考え方です。ですが、お施主さまは住み始めた後、夏涼しく、冬暖かいのに冷暖房費は安く、しかも耐久性もちゃんと考えてあるーーそんな家を建てたいですよね。
「お金と健康で失敗しない間取りと住まいの科学」45,46頁より引用
設計が大事であることを理解したうえで、住宅会社を選ぶことが、快適で経済的な家になるかどうかを決める大きな要因だと思います。
なぜなら、(あたりまえのことですが)最終的に家を設計し建てるのは住宅会社だからです。
そのようなことから、施主が設計のポイントを知識として持っておくことは有効だと考えています。
私は、設計のポイントを心得たうえで、実績をたくさん見せてもらって、どんな設計をしているのか判断して住宅会社を決めたいです
施主にも知っておいてほしい、間取り設計のコツが書いてあるので本書で確認してください。
おわり
今回は、本書から読み取った設計のポイントと、設計の重要性を記事にしました。
これらを理解しておくと、モデルハウスや見学会に行ったときに、「どういう設計をしているのか?」という視点で見ることができます。得られる情報の深みが出ると思います。
ちなみに、本書の内容は、YouTubeでも一部発信されていたり、建築知識ビルダーズ48号(松尾先生特集)にてより実務者向けに詳しく解説されているので、興味のある方はそちらもご覧になってみてください。
さいごに
本を提供いただいた新建ハウジングBOOK様、ありがとうございました!
こんなキャンペーンもやっているようです。
🎁\家づくり中・検討中のみなさま/
— 新建ハウジングBOOKS (@s_housing_books) March 16, 2022
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